生活習慣病のひとつである糖尿病は血液中のブドウ糖の濃度が高くなり、その調節が上手くできなくなることでさまざまな症状や合併症を引き起こす疾患です。
糖尿病で合併しやすいもののひとつに高血圧があります。

高血圧につながる要因とは

糖尿病で高血圧をきたしやすい原因と考えられる構成因子についていくつか挙げることができます。

心臓血管系

まず心臓血管系の関与が挙げられます。
通常、身体の細胞の内外における水分濃度(血中の水分濃度)は浸透圧といういわゆる水分の出入りによって調節されています。
しかし、糖尿病でブドウ糖の濃度が高い状態が続くと、この浸透圧のバランスが崩れて細胞外のブドウ糖の濃度が高くなります。
するとブドウ糖の濃度を薄めようとする働きが生じて、細胞外の水分が増加します。
水分量が増加することはすなわち循環する血液量の増加であり、心臓から多くの血液を送り出さなければならないために、血圧の上昇(収縮期血圧上昇)が生じるため高血圧になりやすいことになります。

末梢血管系

次に末梢血管系の関与が挙げられます。
身体の細胞の膜にはナトリウムやカリウム、カルシウムなどのイオン(電解質ともいいます)を透過させるゲートの役割をするイオンチャネルがあり、細胞の内外におけるイオンバランスを調節しています。
しかし、糖尿病ではこのイオンチャネルが上手く機能せず、細胞内のナトリウムが増加します。
そして増加したナトリウムを調節するためにカルシウムの増加が生じますが、カルシウムは筋肉などの収縮を促す因子であるため、筋肉の収縮とともに血管の収縮が生じて血圧の上昇(収縮期血圧上昇)から高血圧になりやすいことになります。

腎臓

さらに腎臓の関与が挙げられます。
通常血中のブドウ糖濃度が高くなると、血糖調整のために膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。
インスリンは腎臓でナトリウムの再吸収を促す働きをしているため、糖尿病で血糖値が高い状態が続きインスリンの分泌量が過剰になると血中のナトリウム濃度が高くなります。
するとナトリウム濃度を下げるために水分の取り込みが生じて血液量が増加します。
そして増加した血液をより循環させるために血圧の上昇(収縮期血圧上昇)から高血圧になりやすいことになります。

メタボリックは色々な合併症を引き起こす

上記では糖尿病と高血圧の関係について触れましたが、これらを惹起したり悪化することに繋がるリスクがある要因としてメタボリックが挙げられます。
メタボリックは単に肥満であるということを示すものではありません。
メタボリックは内臓脂肪型肥満を基準にして、その他の構成因子として高血糖、高血圧、脂質代謝異常が関与します。

メタボリックにおける主な特徴は中性脂肪の割合が高いことにあります。
基準では血中の中性脂肪が150mg/dL以上となっていますが、この中性脂肪の割合が高い状態が続くことによる問題について触れます。
中性脂肪が体内に溜まると血中に脂肪因子が多くなりやすいため、血流が悪くなります。
血流が悪くなると血管抵抗が増すことになり、血圧上昇から高血圧をきたしやすくなります。
また中性脂肪が溜まると血糖値も上がりやすくなる傾向があります。
通常であれば血糖値が上がるとインスリンによって血糖値が下がることになりますが、中性脂肪が溜まると血中にインスリンの働きを阻害する物質が増加してインスリン抵抗性を示すことになります。
したがって血糖値が上がってもなかなか下げることができずに血糖値が高い状態が続くということになります。

これらのことから、メタボリックは進行していった場合に高血糖、高血圧などさまざまな症状をもたらし、血糖管理や血圧管理が十分できずにそれらの症状が慢性的に続き悪化していくと糖尿病などの重篤な合併症を引き起こしてく要因になります。
そのためこのような合併症を引き起こさないためには、たとえば食生活や運動などで血糖管理に繋げていくといった日頃からの生活習慣を見直していくことが重要になってくるといえます。